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エアアジア・ジャパンの低価格運賃。 [プライス]

エアアジア・ジャパンはANA(出資比率67%)の子会社である。ある意味では国内企業ともとれる。既存ブランドを傷つけないために別のブランドを作り、既存ブランドに対して反意を起こしたサービスを提供することがある。親側はどちらに転んでも大丈夫なリスクヘッジ的な感じ。


ANAは、格好のおとりを見つけたと言ってもいいでしょう。今回の参入は、高いリスクがある反面、高いリターンを享受できる可能性もある。エアアジア・ジャパンアが提示したものは、業界を揺るがす価格であることは間違いない。圧倒的な低価格は利用者に対して、最も強い利用動機を示す戦略である。これまで聖域であった航空業界の価格をここまで下げられることを証明してしまったとも言える。


エアアジア・ジャパンの代表は、低コストを軸に価格をはじき出したと言っている。低コスト体質をどう実現したのか航空業界に限らず関心を持つ企業は多い。私がANAの立場なら、不採算路線のところにこのエアアジア・ジャパンを組み込むことを考える。今回はそういう意図があったのかは不明。古い体質が残る老舗企業はコストカットの英断ができたないため、外部者に悪役を演じてもらうように不採算路線を委託する方が楽なのである。そこから一定のロイヤリティさえ得られればビジネスとしては御の字。


エアアジア・ジャパンがコスト削減で重視する指標はユニットコストと呼ばれるもの。1つの座席を1キロ運ぶのにかかる費用のことで、同じ額のコストであれば、多くの乗客を遠くへ運ぶ方がコストの分散先が増え、効率がよくなるということです。規模の効果に似た考え方ですね。以下のページで具体的なコスト削減策を記載しています。http://エアアジアジャパン.com/03.html


洗練された技術やビジネスモデルで削減を実現しているのではなく、間接費を中心に無駄なコストを日々の努力で削ぎ落としているのです。通常はどこの会社でも同様のことをやっていそうですが、これまでの航空業界では行われてなかったのです。ただ興味深い点としては、サービス範囲を狭くしたところです。元々飛行機は単なる移動手段である。しかし、そこに付加価値をつけ、客室乗務員により、食事や飲み物、新聞や雑誌などを提供し、居心地の良さを売りにしていた。エアアジア・ジャパンの視点で見れば過剰なサービスなのである。利用者のニーズはそこではなく、サービス範囲が狭くても、本来のベネフィットである早く遠くへ移動できればいいいのである。


ANAは、踏ん切りをつけてエアアジア・ジャパンのように方針転換したいのが本音、だがしがらみが多すぎて英断できないために、ベンチャー企業を利用し別な形で実現したのです。


今回の件に発奮されて航空業界の競争環境は変わっていくものと思います。ある意味では風穴を開けてくれたエアアジア・ジャパンに感謝するべきだと思います。

無料は当たり前と思われたらアウトです。 [プライス]

先日の日経MJ新聞に美容院の事例が紹介されていた。髪を染める
際に髪染め剤が付着しないように、服の襟をラップでくるんであげ
ていたが、お客様の反応が全くないため、一言添えるようにしたと
のこと。

「洋服汚れないように、ラップしておきますね」

この一言を添えてからは、お客様より感謝の言葉をもらえるように
なったそうです。


お店側がお客様に抱いて欲しい気持ちと実際の気持ちが全く相違し
てしまい、本来髪染め料金にプラスしてもいいコストのかかる行為
に対して、感謝されないことが当たり前になっていたんですね。


<お店側の意向>
髪染めサービスに含まれない特別なサービスと認識して欲しい

<お客様の気持ち>
髪染め料金範囲内のサービスまたは襟のラップ自体に気づいていない


だからといって、お客様に対してストレートに
「有料サービスを無料にしてます」
などと今更言っても不振に思われるだけである。


先の美容室の言い方であれば、少なくても感謝の言葉を頂けるよう
になり、特別サービスだと認識するお客様の割合は増えるでしょう。


このケースから分かったのは、本来有料であるサービスが無料になっ
ていると認識され、顧客満足度が高まらなければ、感情的ベネフィッ
トの側面では効果をまるっきり発揮できていないのです。


有料であることが一般化しているサービスならば、そのギャップは認
識されやすい。しかし、判別しにくいサービスは啓蒙する必要がある。
このケースは、その啓蒙の一つの手段なのです。


大事なのは、提供者側が狙う成果が何なのか明確にすることと、その
成果に向けたストーリーとロジックを緻密に組み立てることです。


このケースのロジックは、
 ①特別サービス→②顧客満足度アップ→③リピートしてもらう

※参考までにソーシャルゲームのロジックの例は、
 無料ゲーム→面白さを認知→コンテンツ内でステージアップの欲求発生
 →欲求が更に高まり有料でも継続したい→有料ゲーム利用


①と②の前や間に、特別サービスだとお客様に認識して頂くステップが
必要だったんですね。後の一言声をかけていた言動は、的を得たアイデ
アだったのです。


最後に、無料が当たり前になってしまい、お客様の心に響いていない
サービスがないか、再確認頂きたいのです。効果を成していないコス
トの垂れ流しはすぐに改善しましょう。

サービスと価格の関係。 [プライス]

顧客はサービスを消費した時に見合った価格なのか見極めている。
その見極めが次なる購買の基準となる。そこはシビアに評価され、
判決が下されている。


評価が価格を下回った場合、競合サービスを利用するか、値引き
されるのを待つのみである。評価が価格を上回った場合は、リピ
ートされ、良好な関係性が継続するのです。


リピートされることのメリットは大きい。まず広告の手間や費用
を省くことが可能になる。そして、口コミやネットを通じてシェア
され、更なるリピーターが増幅されていく。


これはビジネスが成功する典型的なパターンと言えるでしょう。


逆に競合サービスを利用されたり、値引きを待たれる状況に陥った
場合は、広告内容に頭を悩ませたり、費用を割り当てる必要が出て
くる。もっと悪化すれば、体力勝負の値引き合戦になり、精魂尽き
果てる可能性すら出てくる。


顧客評価 - 価格 = 顧客評価が高い → 好循環へ
顧客評価 - 価格 = 顧客評価が低い → 悪循環へ


価格設定は、好循環と悪循環を左右する大事な意思決定である。
加えて評価を上げる努力や価格を下げることで、顧客評価をプラスに
転じさせ、好循環にすることも有効な手段である。

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