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ザ・プレミアムカルピスを読み解く。 [プライス]

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ドラッグストアへ行った際に気になる飲み物があったので購入しました。
その商品はザ・プレミアムカルピスというもので、2007年7月に発売
です。


カルピス商品では、カルピスウォーターをイメージする方が多い。どちら
かと言えば甘ったるい味の印象が強く、大人の味覚からすると、敬遠する
場合が多い。それとパッケージ自体を見慣れていて、安っぽさを感じるた
めに100円以上の代金を払って、購入したいとは思わない。


しかし、このザ・プレミアムカルピスは価格に見合わないイメージが払拭
されており、購買意欲を高め洗練された商品イメージを植え付けてくれる。


2007年に発売された古い定番商品という印象は全くなく、冷蔵ショー
ケースの陳列群の中でも存在感がある。その理由の一つはテッドボトルに
張ってあるラベルをモデルチェンジしていること、もう一つは上部に張っ
てある「大人、とろける」シールの客観的なコピーの効果である。


実は、このシールは3パターン以上あり、ローソンで見た際は「濃く、と
ろける」のコピーで張ってありました。購入者が自分に都合のいいコピー
を購買動機にしている。


ペッドボトルのシルエットがスリム化されていて、高品質または濃縮感を
イメージさせる効果がある。ちょっと前に濃縮みかんジュースが売れてい
た時期がありましたが、一部のメーカーでは同様の効果を狙いスリム化し
たビンで提供していました。


この商品の布石になっているのは、カルピスウォーターである。自社製品
における消費者の知覚イメージでポジションを明確に示すには、世間に広
く認知されたカルピスウォーターを担ぎ出して、相違する製品スペックを
打ち出すことが、認知されやすい手段である。


主要チャネルのコンビニエンスでは、税込158円で販売されていて、同
じ容量の他社製品にくらべ、10円高い。この価格差を埋める付加価値を
見せ方でカバーする形になるが、充分に補完されている。プレミアムと謳
うことでの高級感、そして清涼飲料ではなく乳酸菌飲料のカテゴリーであ
ることを認知できるかが補完できる条件となる。


私は、98円の飲み物をレジに持っていく途中にこの商品が目に入り、職
種からのバイアスも多少あるが、この商品を飲んでみたくなり、手にとっ
たのです。


マーケティングにおけるコミュニケーションでは、この一瞬に沸き起こる
関心や欲求を購買行動につなげることが目的なのである。

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一杯の100円コーヒー。 [プライス]

私は20代のころ、スタバが日本に進出する前後ぐらいに、カフェチェーンの
直営店を任され、店長として働いていました。価格帯はドトールに近く、コー
ヒー一杯180円で提供していました。


埼玉県の東武線沿の駅テナントとして出店し、東武線沿線進出のさきがけとな
り、売上予測も高いものでした。しかし、同じ並びに東武関連の商業ビルで実
績をしっかり積み上げていたドトールも出店していたのです。


埼玉、千葉、神奈川は東京のベッドタウンと言われ、昼間は東京で働き、夜は
自宅のある埼玉、千葉、神奈川に戻ってくる。自店はその中心に位置する地域
だったのです。


電車に乗る前にコーヒーを買う人はまずいなかった。やはり会社付近で利用す
るというのが一般的なようでした。当時の店舗開発担当の読みの浅さに呆れて
しまった記憶があります。出店前に同担当がはじき出した損益分岐点は全く
現実離れしたものでした。


やはりドトールに定着していた安価なコーヒーとタバコを一服できるスペース
というショップブランドは、スタバなどのシアトル系とは全く違う形のもので
無名のコーヒーチェーンを寄せ付けない強さを持っていました。


採算が全く合わないということで、最終的に撤退するのですが、最後に悪あがき
する意味で、コーヒーの価格を100円で提供したのです。客数の確保はできた
ものの望まれる収益は稼げませんでした。


そこから学んだことがありました。ただ安さだけを売り物にすると客質が下がり
品質も下がるということです。飲食店すべてそうですが、基本的に他のお客様と
フロアを利用する意味では、共用ということになる。


そうするとお客様がお店の雰囲気を作ることになり、それが品質になってしまう。
これはコンセプト設計の際に、どんな人にお店を利用して欲しいかを決めて、そ
れに合わせた、メニュー作り、価格設定、店舗作りを行うのです。そうして見合
った客層が客席を埋めるのです。


先に言ったように100円でコーヒーを提供したことにより、全てが崩れだした
のです。求めていた客層の利用は全くなくなり、200円でコーヒーを飲みにき
ていたお客様も来なくなり、100円コーヒーだけ注文するお客様が増え、客単
価は下がるし、客席の回転率も下がってしまいました。


もし仮に撤退の想定がなく、競争に打ち勝つための施策である場合は、マーケティ
ングミックスを全体として他の領域と整合性のとれる形で修正をしなければバラン
スを失ってしまう。当時のように180円を100円にと価格をいじるだけでは多
くの損失を発生させてしまうのです。


もちろん撤退ありきだからこそ、できる施策であるため、私個人としては貴重な
経験を積むことができたと思っています。


価格設定。 [プライス]

企業がどんな手段で価格設定を行っているかは不透明である。企業が開示しな
ければいけない理由はないので、当たりまえでもある。


価格設定の切り口を3つ上げると以下になる。
1 製品に対する顧客が想定する価値の対価

2 既存製品の競合(自社)価格との兼ね合い

3 製品のコストによるもの

※以下項番で説明。
※リスクとは市場浸透度が遅れることを意味します。

一般的に1は上限、3は下限と言われる。この中で価格設定における一番リス
クの大きいものは1になる。一番低いのは2になる。

2の価格設定は、競合の価格情報とその価格での販売動向を踏まえられるから
リスクが低いのです。市場でどんな価格が受け入れられ、否定されたかが明確
なため、戦略的に価格を決めやすい。製品ラインやアイテムの拡充も同様である。


3の価格設定は、コストに対して一定の上乗せをする手法なので、的外れな価
格になりにくい側面がある。しかし、規模の効果や経験曲線が効かない生産量
の場合だと高くなってしまうケースもある。


1の価格設定のリスクが高い理由は、顧客に受け入れられる製品の価値の対価
を算出することが非情に難しいからである。こんな声を聞いたこと、ありませ
んでしょうか。「このサービスだったら、もう少し高くても利用するのに」
企業側からすれば、チャンスロスとも言えるでしょう。希少性の高い製品やサー
ビスであれば、高い対価を要求しやすく、リスクを低減できる。



上記で概ね価格が決まり、景気動向、市場の進捗度(製品のライフサイクル)、
市場予測、セグメントされたターゲットの特性、地域性など様々なファクター
にかけられて修正される流れになるのです。



地デジ対応テレビで言えば、製品のライフサイクルにおける導入期では1と
3からの傾向が強く、価格は高かった。ここ1,2年では成熟期を向かえ2
の傾向が強くなり、機能強化されているのに導入期の半額以下の価格で販売
されている。

この半額以下を実現できたファクターは、経験曲線による生産の海外移転や
生産量の増加による規模の効果が働いたと想定できる。

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