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自分の仕事を捨てられますか? [プロダクトライフサイクル]

自らサービスを廃止する勇気
以前、私はあるサービスの販売企画の仕事をしていた。利用ユーザーは少なく、サービス単体では儲けはなく、むしろ赤字だった。別のチームが運用中のユーザー数が多くて儲けが出るサービスと、社内機能を共有できたので、多少の赤字を減らせていた。会社というのは不思議なもので、廃止したいけど廃止できないジレンマが生まれ、赤字垂れ流しを継続することが往々にしてある

しかし、ある日突然このサービスを打ち切ることが決まった。決裁したのは上層部なんだけど、その提案をしたのは我々の上司だった。自らが扱うサービスを否定し、これ以上続ける意味がないと訴えたのだ。一つ間違えれば、自らの無力さを上層部に露呈するリスクがある。マイナスの見かたをされれば出世ラインから外れるのは確実だ。特に官僚的な組織においては、かなり刺激的なことなので相当の勇気がいっただろう。


廃止するからには次なる一手を
廃止するには、疑いの余地がなく、近い未来のリスクがない根拠を並べたてないと、官僚的な組織では承認されない。その上司がやり手だと感じたのは、なぜ売れないのかの根拠を次の一手につなげる離れ技をやってのけたところだ。社内サービス全般に共通して欠けている部分を明確にし、社内コンサル活動として調査チームを立ち上げることに成功した。そこに引っ張られる形で私もチームの一員になった。上司は高いモチベーションで社内に切り込み、新しい価値の気づきを与える業務改善を進めていきました。


自分の仕事を問い直す
基本的に仕事は時間を費やせば費やすほど、慣れて楽になるだろう。そうすると慣れきった自分の仕事を否定するのは極めて難しくなる。むしろ必要性を訴えていくだろう。

会社には様々な機能がある。大きく分けると必要な機能と不要な機能。今の時代、最も大事なのは不要な機能を必要な機能にスピード感をもって転換できる決断力と柔軟性だ。最終決断は上層部の仕事だが、発信元になるのは、現場である当事者がベストだろう。それは自らの仕事を否定することほど、説得力のある根拠はないからだ。


肝は次なる仕事
ただ廃止するだけでは意味がない。次にどんな機能が企業にとって必要な機能なのか、ここを考えるのがこの転換の肝になる。次に何をやるのかによりチーム自体のモチベーションが決まる。そもそも自らの仕事を否定する根拠の一つは、優先度の高い仕事が他にあるからなので、現時点で企業に必要な価値観は何なのか、企業にとって潤滑油となる仕事は何なのか、この機会に考えるのだ。


電子書籍市場が熱くなりつつある?ープロダクトライフサイクル [プロダクトライフサイクル]

数日前に記事でamazonが近々キンドルを日本で発売すると発表し、その数日後には楽天がコボタッチを発売すると発表。これだけ近い時期に発売発表をする裏には、大きなビジネスチャンスをモノにしたい競争意識が働いている。しかも、最初から市場浸透価格でファーストシェアを獲得したいため、両社とも端末単体での利益を度外視している。


絵としては、江戸幕府である楽天が黒船であるamazonの来航を阻止する姿が浮かぶ。今の日本における電子書籍端末市場にとって、一つのターニングポイントを迎えている。プロダクトライフサイクルの視点でいくと、電子書籍端末市場は導入期末期にあたり、これから成長期を迎えるタイミングである。


導入期には失敗するリスクが高く、市場から全く相手にされない場合もある。キンドルはアメリカで実績済みなので、大きな失敗はないだろうが、唯一懸念されるのは価格設定にある。楽天のコボタッチはまだまだ製品自体に未知の部分が多いため、キンドルよりはリスクが高い。


先ほどファーストシェアと言ったが、これをどれだけ獲得できるかで、電子書籍販売のビジネス規模レベルが決まる。テレビゲーム市場に似ていて、ハードの利用シェアがソフトの市場規模レベルを決めてしまうこと。今回、両社が低価格で出した理由は、このファーストシェアの獲得に狙いを絞っていることと、電子書籍販売の収益をあてにしているからだ。


電子書籍の普及を加速させるためには値崩れが必要だった。しかし、現段階で高いシェアを確保しているアップルのiPadはブランド管理が徹底され、価格は維持されてしまっていた。売れてはいるが、販売数規模が小さく、電子書籍市場にインパクトを与えるほどにはならなかった。加えて多機能タブレットのコンセプトなので、電子書籍端末として使うという動機付けが薄くなった感がある。


今回、発売される予定のキンドルとコボタッチは、コンセプトが電子書籍端末メインであるため、電子書籍市場へのインパクトはこれまでと違う。しかも、価格が市場浸透価格であることは、これまで購入を回避していたアーリーマジョリティ(前期採用者)が反応する可能性が高くなり、よりいっそうの普及が進む。


今日の日経ニュースで、アップルがiPadのミニタイプの発売を示唆する記事が出ていた。このアップルの反応からも電子書籍端末市場のライフサイクルのステータスがいかに重要な局面を迎えているのか理解できる。

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