黒本 著者/高城剛 [本紹介]
高城剛さんのイメージ
高城さんの思想に共感し始めたのは、アナザースカイの出演からでした。高城さんが時代の先を行き過ぎてて、一周回ってチャラチャラした人に当初は見えていました。いろいろなコメントや著書に触れていく中で、類稀な優秀な人だとわかり、自分の頭脳ではたどり着けない視座に光を当ててくれる存在になっています。ハイパークリエイターと呼ばれる所以通り、何か企画をするにしても的を外さず先の先を読んだアウトプットを出し期待値を超えてくるから依頼が滞らないのだろうと勝手に想像しています。
この本の概要
この本にサブタイトルをつけるなら、「滅びゆく日本にメスを入れるとしたら」でしょうか。幅広い質問に高城さんの鋭い考察と経験に基づく知識で回答している形式になっています。文章というより会話を聞いているような文面なのであっという間に読み切れました。質問の多くは、今の日本社会に不安を抱く人たちから多く寄せられている。日本社会のタブー化された本質的な問題に触れながら圧力を恐れずに語っています。
率直な感想
本当の意味での自由を日本人は手に入れていないと思った。当たり前に見てきたテレビは、国家戦略の一部にしか今は見えない。経済大国の本当の意味をこの年まで知らずに生きてきた。人生における恒例化しているイベントの多くは経済主義によって敷かれたレールの上で気づかずにただ踊ってただけ。日本では消費することが人生そのもので、宗教ですらその一部になっている。クリスマス、お葬式は典型的な経済イベントだろう。そもそもお金を使う必要のないところに、消費を促すために作られた゛ワナ゛とも言える。
どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール 尾原 和啓 [本紹介]
どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール
- 作者: 尾原 和啓
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2018/04/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
この本の中でDCPAについて解説されている。PDCAは誰もが知るフレームワークだが、外部や内部環境が変わり、計画ありきでは通用しなくなった。DCPAの思想で成功しているビジネスユーザーは多い。発想の転換が求められている。以下は私なりに解説してみました。
●PDCAはもう古い!
①Plan (計画)
②Do (実行)
③Check(評価)
④Action(改善)
ビジネス書の多くの本でPDCAサイクルの重要性について書かれている。これは計画を立て、実行し、評価して、ベターな効率効果の高い手段を見つけるためのもの。
それまで日本人は、計画を立てることは得意だが、実行して評価する客観的な視点と、ボトルネックを見つけ論理的に原因を改善する思想がなかった。
日本のビジネス文化に衝撃を与え、多く取り入れられた考え方であり、様々なフレームワークののベースになっている。
(メリット)
・評価→計画で最適解を導き出せる
・周到な分析と準備の上で実行できる
・マネージメントは現状把握しやすい
(デメリット)
・計画策定者と実行者がバラバラの場合、現場と障壁ができる
・計画に時間がかかり、なかなか実行できない
・大きな方向転換ができず計画の微調整が多くなる
万能に見えるが、いくつかのネックがある。その一つは計画を中心にサイクルする点だ。計画した人が主導権を握り、現場感覚を持つ実行者とギャップができてうまく進まない場合がある。
●机上よりも小さな実行
作りこまれた企画だから成功するとは限らない。実行してみないと見えない部分が大いにある。そして、念入りな計画策定に過度な労力を使うなら、小さな実行を重ねた方が有益なフィードバッグが得られ、早期に最適解へ近づける。
●今の時代はDCPA!
①Do (実行)
②Check(評価)
③Plan (計画)
④Action(改善)
正確には(D→C)×複数回実行後⇒PAとなる。これは計画プロセスを後に回している。PDCAの問題点として計画段階で時間がかかり、実行に踏み切れないことがある。要は頭でっかちな人達が失敗を恐れすぎ、実行に踏み切れない場合。
DCPAは、いつくつかの実行パターンで小さく動いてみて、確度の高いデータを一挙に集める。①②→①②を繰り返し、最適解に近いパターンを見つけだした後、③計画を練って④改善する。現場側の実行者が中心になるので、机上の空論になりづらい。
(メリット)
・現場裁量で進められる
・最適解を短時間で導きさせる
・確度の高いフィードバッグを得られる
(デメリット)
・マネージメントは把握しにくい
・無駄になる実行が多くなる
2019-05-06 19:31
シンプルに考える 森川亮 [本紹介]
この本について一度記事を書いている。改めて読み返してみると組織、人的管理の部分で非常に参考になる。森川さんはLINEを退社し、新しいアプリサービスに携わっている。LINEでのスタイルを継続できているなら、新たなモノでヒットさせることは間違いない。
どんな本
森川さんがマネジメントを務め、LINEを成功に導いた経営学についてポイントを絞り、分かりやすく要約し教えてくれる本です。様々な切り口で今の時代に合った手法を遠慮なく説明している。これまで世の中に放たれた経営学に比べ、実践的で納得感がある。特に組織マネージメントは時流と合致し洗練された質の高いもの。水、電気、ガスの水準に近いライフラインとしてLINEは確立されつつある。偶然性の産物ではなく、必然的に創造されたものだ。
組織の在り方=局面×業種(業態)×企業規模
局面や業種業態により最適なマネージメントスタイルは異なるもの。LINEが置かれた局面は、プロダクトライフサイクル上の成長期。サービス仕様の創造と消滅を頻繁に繰り返し、突き抜けたサービスは成長しながらし烈な覇権争いを強いられ、最もスピードを求められる時期だったと推測する。森川さんの凄いところは、その局面を冷静に読み取り、組織作りに反映させたこと。それが功を奏し、スマホアプリにおいて後手に回っていた日本が天下を取ったのだ。SNSで競合する世界的企業のフェイスブックやツイッターに勝ったことも凄いが、スマホの基本機能である電話を脅かすのも凄い。
経営者は思いっきり走れる環境を作れ
この本に森川さんの名言がたくさんある。グローバル環境に勝つための創造性とスピードを育む経営を洗練させていく中で生まれたもの。「空気は読まない」「モチベーションは上げない」「計画は作らない」「仕組みでは成功できない」「ルールは作らない」これらは、スタッフに障害物競争ではなく、グローバル基準の100メートル競走を走らせたい気持ちが深く盛り込まれている。
やるべきことがシンプルな程、人は力を発揮しやすい。しかし、日本の大企業は1個の施策を行うまでに様々な手続き、たくさんの承認、そのために詳細な資料を作る必要がある。誰のために時間を使うのかの焦点がずれているのだ。
会社は学校ではない
上司が部下のモチベーションを上げる努力が仕事の一部なのかという議論が世間にある。森川さんは、プロである以上モチベーションに左右されることなく、責任を全うするべきと説いている。モチベーションの低い人は、自己管理の問題であり、精神的に未熟な証、上司がそこに労力をかけるメリットは少ないと説く。であれば高い意識を持つ人たちに労力をかけた方がより高い成果を期待できると考えるのも当然と言えば当然。