SSブログ

価格を下げるのは思考停止状態を意味する [プライス]

価格設定に狙いはあるのか?
事業を始める際の価格設定は自らを評価する重要な決定要素だ。感情的情報を根拠にして無計画に決めてしまうと、後で痛い目にあう。それに事業開始前に決めた価格を目的なく維持するのは、市場や自社の評価を認識する活動を怠けている証拠だ。市場を見渡せば需要と供給が常に変動し、自らの売り物の評価も常に更新されている。情報の流通と拡散の速度が圧倒的に早くなっているのを生かすことが求められる。


過剰な安さは誰かが苦しむ
デフレ以降、過剰に安いサービスが多く散見される。競争環境がそれほど厳しくないのに、あっと驚く低価格を設定したりする。正常なサービスを提供できないレベルまでコストを削ると、そのしわ寄せが必ず誰かの負荷になる。自動車業界での、メーカーは儲かるが末端の部品メーカーが経営に苦しむのが正にこれだ。

事業は儲けるのが基本的な目的であり、理念なく自ら安くする必要はない。イニシアティブを持つメーカーは、バリューチェーンに参画している関連会社に儲けが行き届くよう管理して欲しいし、それがメーカーの責務だ。操業度が高ければ儲かるというビジネスの鉄則は守られるべきだ。


価格弾力性の視点はあるか?
価格弾力性という指標がある。価格を変えることで需要がどれだけ変動するかを表した数値だ。弾力性が低ければ価格を下げるメリットはないし、上げるための施策を考えた方がいいだろう。弾力性が低い代表的なものは、高価な贅沢品。仮に100万円のダイヤモンドを90万円に値下げした場合、1億円のマンションを9000万円に値下げしても需要の大きな変化はないだろう。


価格を上げる難しさ
価格を下げるのは、自らのサービスの評価を低く見積もること。マクドナルドの例をみれば分かりやすい。2000年以降、同社は低価格戦略でシェアの獲得を急いだ。しかし、市場のニーズが徐々に嗜好性重視に変わり、単純に安いだけでは売れなくなった。しかし、マクドナルトは中期的な業績悪化に耐えきれず、低価格路線に戻るのを繰り返す負のスパイラルに陥っていた。最近になってやっと、デフレ前の元気なマクドナルドに復調した印象だ。

一度下げた価格を上げ戻すのは非常に難しい。市場は値下げに対して、一時的な評価をするものの、常態化すると効き目が薄れる。上げ戻すには、一時的な客離れを織り込んで、客層を変えたり、サービスのアップデートをうまく宣伝できれば上げ戻せる可能性はある。


価格を下げる打ち手は最終手段
目先の儲けに惑わされないこと。クリエイティブに幅広く選択肢を考えられる俯瞰した視点は大事だ。マーケティングにはいろいろ要素があるので、どの要素をいじれば効果的なのかを冷静に考えてほしい。価格を下げる打ち手は、思考停止になった企業のすることだ。

共通テーマ:仕事

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。