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ブランド再生工場―間違いだらけのブランディングを正す [ブランド]


ブランド再生工場―間違いだらけのブランディングを正す (角川SSC新書 45)

ブランド再生工場―間違いだらけのブランディングを正す (角川SSC新書 45)

  • 作者: 関橋 英作
  • 出版社/メーカー: 角川SSコミュニケーションズ
  • 発売日: 2008/07/10
  • メディア: 新書



▼この本の特徴
豊富な事例を元に明快で分かりやすく解説している。ブランドは、定義しにくい概念だが、事例をうまく使い、切り口を統一させたことで理解が容易だ。独特だったのはブランドの新規構築の解説ではなく、既存ブランドの再生を解説の軸にしている点。ビジネスサイクルが早く、衰退したブランドが山のようにある現在にはうってつけのテーマだ。


▼ブランドの視点
ブランドを人間関係に例える点は面白い。ブランドと人の関係は、人と人の関係に極めて似ていると、この本を通して強く感じた。選好する際に共通してるのは感情的思考の比重が高いところ。コーポレートブランドを擬人化してみると、ちょっと生意気で憎めないアップル、ポジティブで行動的なユニクロ、好奇心旺盛なグーグル、包み込む優しさと責任感が強いトヨタなどなど、こういった例から分かるように擬人化しやすい。逆に考えればブランド戦略を思考する時に、人間関係の視点を採用するのは有効と言える。


▼大手新聞社のブランド再生
後半に書いてあるブランド視点での大手新聞に対する提言は面白かった。著者がブランド再生を目的に分析していくと、まだまだ新聞も捨てたものじゃないと私は思った。大衆の基本的な情報収集手段は、ネットへの移行が進む現状はあるが、紙に対するニーズはまだあるし、新聞が読まれるための打ち手はまだあるのだ。むしろ異質なニーズをくみ取った方向へ、組織の価値観を軸に転換できるかが本質的な課題なのかもしれない。


▼ブランドに関する理論は少ない
ブランドに関する本は、他のマーケティング関連著書に比べて少ない。それはブランドが体系化しにくい概念であるためで、一定の規則性に基づいて達成されることが少ないからだ。千差万別という言葉のように、成功物語ごとにKSFが存在する。しかし、この本ではブランドの事例に対し、統一した切り口で解説している点は、斬新だと思う。

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