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価格を小売店に委ねない覚悟。 [プライス]

▼きっかけはラジオ
あるラジオ番組を聴いてたら、商品紹介のコーナーが流れてきた。普段なら聞き流し、その製品をネット検索することはまず無い。しかし、今回の製品は気になり、ネット検索し、品切れリスクを考え量販店に在庫確認までした。その数時間後にはパソコンを使い、YouTubeに投稿されていたジャパネットたかたのテレビショッピングのコンテンツを使って家族内プレゼンを行っていた。最終的に家族内決裁を取り付け、早速購入してきた。最安で販売しているところを探そうとしたが、どこの価格も5980円なのだ。まるで金太郎飴みたいで、これはなんらかの意図が働いていると気づき、価格を諦めてポイント還元など販売促進での特典に焦点を絞った。最終的にケーズデンキの購入時割引を選択し買ってきた。

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▼価格を維持する目的
メーカーと小売店では、価格に対する狙いが相反する。メーカーは、できるだけ高い価格で販売し、利幅を確保したい意向が強い。それとメーカーのブランドイメージを崩したくないプライドもある。したがって価格操作(値引き)よりも販売力で売ることを期待する。小売店は、購入希望者とリアルに対面するため、競合価格や訴求価格をくみ取りたい衝動にかられ、価格を操作して楽に売りたいし、在庫を掃きたいと考える。販売委託契約や卸す際のルールをどう定めているかで、価格決定プロセスは変わる。メーカーが決めずに、小売店に価格の裁量を任せるオープン価格が最近の量販店におけるスタンダードである。


▼小売店との交渉を有利に進められた理由
ここまで徹底して価格を統一させるには、相当の交渉力がないと実現できない。交渉が優位になる主なケースは以下になる。3Dアースシャワーは最下項目の特許済みの独占技術による製品、一つ上の製品ぷなのだ。

・メーカーのコーポレートブランドが確立され、ユーザーの選好で優位になる
・圧倒的な販売シェアを獲得できる製品(群)ブランドがある
・売れる見込みが高く販路が限定されている
・ヒット商品の後継品
・競合を寄せ付けない安さの初期価格を提示
・製品プレゼンテーションの巧さ
・特許済みの独占技術による製品


▼特許の優位性
同じ技術に模倣されることがなく、完全な差別化製品として小売店に置かれ、競合との価格比較選好を回避できる。したがって価格を下げる理由がない。同製品メーカーが強かなのは、自分達が欲しい利益を明確にし、現在の価格で十分に達成できることを知りながらプロダクトライフサイクルを長く見ているところだ。とにかく日々の結果が欲しいという焦りから利益率よりも販売数に軸足をおいてしまうと値引きを容認したい衝動に駆られる。特許を取得すると一定期間技術が守られるため、その期間内で収益を計算すればいいのだ。特許が無ければ競合がすぐに模倣品で参入するため、先行者利益を短い期間で獲得しなければならない。


▼プレゼンテーションの巧さ
特許による独占技術と同等に効果的だった施策は、小売店に対するプレゼンテーションだ(以下プレゼン)。製品を使った際のメリットについて、水道光熱費の削減金額を使い、リアルな数字で提示し、ダイレクトに訴求する手法を各小売店が横並びでやっていた。その源はメーカーが小売店に対し、効果的な訴求が容易にできるよう訴求情報を分かりやすく魅力的に伝えたこと。いい製品だとしても、販売する下流にうまいプレゼンができなければ来店者に魅力を伝えられず売れないのだ。


▼武器と覚悟をもて
製品は販路が無ければ売れない。全国的に、早く、高い販売数を実現するには、巨大な販路をもつメジャーな小売店との交渉を避けては通れない。パワーバランスは交渉に大きく反映されてしまう。しかし、今回取り上げた企業のように交渉を優位に進めるための武器を持つことで、状況を打破できる。ゲームみたいに課金して武器を手に入れることはできない。戦略的に長期的な視点で企てて、本件のような強かな計算をすることにつきる。

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