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無印良品に期待すること。 [ポジショニング]

▼無印ブランドとは?
既存メーカーが製造してきたセンスの弱いデザインに挑戦するように、機能性を高めた使いやすさ、新しいライフスタイルを後押ししてくれるデザインだったり、シンプルなデザインを強調し、都会的なイメージを持たせ、生活を豊かにしてくれる力があった。全ての生活用品を無印に統一したい願望を持った人も多い。買う買わないに関わらずお店にいって製品を眺めるだけで、楽しくなる感じがあった。他メーカーの高級品目当てのユーザーに対しては価格性能比を認知させ、ブランドスイッチを実現したり、ユニセックスでもあり、幅広いユーザーに受け入れらた。


▼不景気による低価格小売店勢力の強まり
景気が悪化し、可処分所得の少ない人が増えるにつれ状況は悪い方へ変わっていった。無印製品の多くは元々コモディティ化された生活用品に目をつけ、全く新規のブランドで企画販売したものなので、節約の対象となりやすいカテゴリーなのだ。コモディティ品は機能さえ保たれれば安いに越したことはない。その結果、無印ユーザーの多くは100円ショップや量販店などの低価格店に奪われていった。最近ではインターネットやスマートフォンの普及で、ネット通販の脅威が更に厳しい環境にしている。


▼割引に走るのか、ブランドを維持するのか
追い込まれる中で選択肢はいくつかあった。一つは低価格に追随する形で値引きをするというもの。もう一つはブランドの維持か再定義。実際には前者を選択し価格をかなり下げた。それに加えて品揃えを豊富にし、安いだけではなく、ミドルグレードの製品もラインナップされ、選択肢を増やした印象が強い。低価格の実現にファブレスモデルを採用し、ユニクロのような純粋なSPA(製造小売)にはならなかった。10年20年前のかつてのブランド力はないが、ビジネスを後押しする支援活動を積極的に行ったり、出店をコンスタントに行うことで、ブランド力よりも身近に感じられる存在感を見出すようになった。


▼現状から推察できること
あるネットのインタビュー記事で良品計画が答えた情報では、インターネットの活用を重視しているようだった。狙いの一つは店舗送客で、インターネットにおいて購買プロセスモデルの「注意」「興味」「検索」を経て、動機付けをもたせ、店舗に来てもらうフローを作りたいというもの。最近の無印のサイトはかなり充実していて、収納品ではサイズから検索ができたりとディティールまでチェックできる。サイトは単なるカタログサイトではなく、販売促進色を強く打ち出したバリューチェーンの一角を担った形になっている。もう一つはWEB上でユーザーとの双方向コミュニケーションの場を設け、CRM(顧客関係管理)を進め、有効な情報を得て、活用できる体制をとっている。店舗展開では、統一コンセプトではなく、複数のコンセプトで出店を進め、ロケーションや客層により選別している。今は結果重視ではなく、ビジネスプロセス構築を重視している印象が強い。


▼期待すること
私は個人的に好きなブランドなので厳しく言わせてもらうと、マーケティングミックスにおけるポジショニングをもっと明確にしてほしい。現在はプライス、チャネル、プロモーションを打ち手として施策し、短期的な成果を求めているように見える。本来目指すべきは、長期的な勝ち組になること、そのためにはコンセプトの再定義によるポジショニングをあっと驚くような強烈でインパクトのあるものにすることだと思う。

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